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2017年10月20日金曜日

物語を生きる

秋休みだが、オールボー大学では大学院の授業はあるらしい。先般から、少し助言をさせてもらっている日本人留学生から、就職活動用の文章についてもう一度助言を、とのことで大学に向かった。彼女は大学院の授業も取っているようで、朝8時からの授業に出ていたらしい。それを終えて、1時間ほど、大学内の共有スペースで意見交換をした。

英語環境に慣れていることもあってから、なかなか日本語の表現でまとめられないのが彼女の悩みだという。ちなみに、まとめるべきお題は「大学で学んだことの詳細や課外活動、表彰を受けたことなどあなたの学生生活をアピールできる内容」をまとめる、である。例えば工学部などであれば個別具体的な技能の習得を示すことができるが、社会学や広く教養という観点だと、確かに表現は難しい。そこで、それまでの人生をどのように振り返り、どのような価値が大切かを確認することができたのか、そうした素養が磨かれたのは何故か、ということを記すのがよいのではないか、と捉えることにした。

多くの学生に向き合ってきているが、自分自身はエントリーシートによる就職活動を経験していない。それでも、エッセイを書いて職を得るという経験は何度か得てきた。なお、前掲の質問は「キャリアフォーラム」 で用いられている質問のようである。こういうときには、型にはめることで平均点を狙うか、型から少しはみだすことで目に留まるようにするか、どちらかの方針を定めた方がよいというのが実感である。

わざわざ平均点を狙っていくよりは、人の目に留まるほうがよいと思っているものの、その価値観を押しつけるのは本意ではない。そこで、改めて二者択一ならどちらかと訊ねると、型からはみ出して抜きに出る方がいい、という。方針は定まりつつも、どうしていいかわからないとの苦労の様子だったので、いっそTEDトークに出ることになって、その際のシナリオをつくるつもりで臨んだらどうか、と助言をしてみた。ふと、2015年4月17日、朝日新聞の「折々のことば」で、べてるの家の向谷地生良さんのことばが紹介されていたこと、その際の鷲田清一先生の「live(生きる)を逆さにすればevil(禍〈わざわい〉)」という解説を思い出した。


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