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2017年6月18日日曜日

余韻

 スコッチウイスキーの蒸留所を訪ねる旅、今回は2ヶ所を巡ったのみで、翌朝に帰路につくことになった。アムステルダムでの乗り継ぎがもう少しよければ、午前中にもう1ヶ所くらい行くことができたのだが、あいにく、叶わなかった。しかも、今日は日曜日である。そもそも公開している蒸留所が少ない上、ビジターセンターを設けているところでも、日曜日は閉めているところもある。

 インヴァネスからアムステルダムへのフライトは朝6時10分の出発予定だった。ところが、日曜日と言うこともあって、フライトに間に合うバスがない。予め知っていたので、昨日のうちにインターネットでタクシーを予約しておいてよかった。時間よりも早くにホテルに到着したタクシーの車窓から見てみると、昨日の夕方には客待ちのタクシーが並んでいた駅でさえ、一台もいなかったためである。

 帰りのフライトでは落語の聞き比べで楽しんだ。志ん朝師匠と談春師匠のお二人を、である。持ち合わせた演目は「文七元結」と「明烏」であった。スコッチウイスキーの翌日が落語というのも妙な感じかもしれないが、落語もまた、熟成という言葉が似合う文化の一つな気もしている。英国からシェンゲン協定圏内への移動ということもあって、アムステルダムではパスポートコントロールを通らねばならなかったのだが、ここが大混雑で、同じく談春師匠による「九州吹き戻し」を想い起こしながら、無事の帰路を思うのであった。

 インヴァネスからアムステルダムまでは1時間30分あまり、そしてアムステルダムからオールボーは1時間10分ほどのフライトだった。耳では落語を楽しみつつ、一段落ついたところで、「スコッチウイスキーの真価」が収められた『美味しんぼ』第70巻を電子書籍にて購入し、昨日の濃密な時間を復習することにした。改めて、無知であった部分と、見聞きした内容の奥深さに気づくことができ、これで趣味が一つ増えたと確信している。芳醇な土地の気候と、その気候が生み出した文化が、まさにシングルモルトの後味のように、私の関心を包み込んで離さないのである。




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