「この前の話の続きを」と、オールボー大学での受入担当教員、Mogens先生が誘ってくれた。というのも、先週の金曜日のリサーチミーティングが、実践的な教育において理論をどのように重ね合わせるか、というところで時間切れとなったためである。その場では「構想」だけでなく「分析」のレベルまで思考を深めることが大切だ、というところで終わった。そこで先日、改めてJens Rasmussenの「The decision ladder template」(直訳すれば「意志決定のはしごの雛形」)について記された文献を借り、この理論について解釈を重ねていた。
今朝のミーティングには、コミュニケーション・心理学部のHanne Bruun Søndergaard Knudsen先生を誘ってくださった。先週、Rasmussenモデルを簡素化したMogen先生による「はしごモデル」を通して、プロジェクト型の問題解決学習において、教員がいかに指導者として立ち居振る舞うかについて意見交換を重ねた。そのすぐ後に、そうしたスーパーバイズのあり方について、Hanne先生からMogen先生に質問が寄せられたために誘ったという。そこで、3人で実践について、教育について、理論について語ろう、ということになった。
Hanne先生は、心理学の中でも、こどもの分野でプロジェクトを展開されている。オールボー大学だけでなく、デンマークでは心理学の分野で職を得ていくには、修士課程の修了がほぼ前提となっているようで、実際、オールボー大学では1学年約150人のうち、120人から130人ほどが大学院に進学し、残りの学生たちもコペンハーゲン大学やオーフス大学の大学院に進学を選んでいる場合があるという。それゆえ、今日のディスカッションでは、最初に立命館大学では教養教育としてプロジェクト型の学習を展開していることについて紹介し、環境の違いを前提にした上で対話を重ねていくことができるように努めた。
Hanne先生は午前中に院生とのミーティングがあるということで1時間ほど、Mogens先生とは最終的に2時間半あまりのディスカッションを重ねた。子育てをしたことがない学生たちであっても、自らのこども時代を振り返り(reflect themselves, down to the layer)、何が問題であるのかを定めることに時間を掛ける(formulate the problem, so much time)、そのために教師ではなく指導者として自らの関心へと仕向けない(no control by institution, in different ways)ことが大切だと、Hanne先生は実体験を語ってくださった。Monges先生も「現場は問題を抱えている」という前提で臨むのではなく、目の前に起きている現象やそれらの行為をもたらしている習慣を説明できるようになること、その過程で理論的観点を深めることができ、そこから未だ気づいていない前提を問い、結果として解決すべき問題が定められると、一連の「はしご」を登って降りていくメタファーで捉えられる学びのモデルを説明してくださった。それぞれに「実社会に出て、継続してプロジェクトを展開していくことはデンマークでは難しい」と好意的に評価してくださった(というのも、デンマークでは「去年もやったから次は…」と新しいことが促される傾向にある)こともあり嬉しく評価をいただいたが、ミーティングの最後、Mogens先生が、「理論とは社会を見つめるバルコニー」と描いた友人のイラストを紹介してくださり、メタファー話に花が咲いた。
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