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2018年1月7日日曜日

翻訳コンニャクという妙名

妙薬や妙技といった表現には馴染みがあるものの、妙名という表記はあまり目にしたことがない。ただ、ドラえもんに出てくる道具は、総じて巧妙な命名がなされていると、年をとるごとに思う。中には年をとってこそ「なるほど!」と唸るものもある。私にとっては「ウソ・エイトオーオー」はその最たるものであるので別稿に譲るとして、Yの字の型になったロウソク「Yロウ」などは、藤子・F・不二雄先生が、まるで劇中でのび太が得意顔になるときのように、舌をペロンと出して執筆されたのではないかと思いを巡らせてしまう。

中でも翻訳コンニャクは、ドラえもんを少しでも知っている人なら誰もが理解できる道具だろう。2016年12月には、パナソニックが法人向けに「メガホンヤク」という商品を販売している。きっと、その命名の過程でも、翻訳コンニャクが話題になったのではなかろうか。駄洒落と言えばそれまでだが、それを親父ギャグといったカテゴリーで片付けられて欲しくない、というのがドラえもんファンの密かな思いである。

今日は4月に提出した翻訳原稿を修正した。自分の目だけでは気づかない点もあるので、妻の目も借りることにした。7月のミーティングを経て1度目のマイナーチェンジを行い、10月の段階で2度目のマイナーチェンジを行った。そのため、これで3度目のマイナーチェンジとなる。今回は忠実に訳す段階から日本語としての通りを良くすることが目的の改訂となった。

7月の段階では「山口さんの論文を読んでいるようだ」という評価が重ねられた。今思えば、これは皮肉として受け止めて、その時点から大幅に改稿しておけばよかったように思う。改めて、以前観た、長井鞠子さんのプロフェッショナルとしての通訳のあり方を想い起こし、書き下していくことにした。通りを良くしていくこと、翻って伝えていくこと、通訳と翻訳の語に埋め込まれたそれぞれの意味を味わいつつ、通すところは通す、翻るところは翻って、言葉を重ねた。


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