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2018年1月31日水曜日

長い冬休みが明けて

今日からオールボー大学文化心理学研究センターの「キッチンセミナー」が再開された。前回は11月29日だったから、およそ2ヶ月のお休みだった。その間、クリスマスがあり、年明けには試験期間に入った。オールボー大学の試験は、講義科目はレポート、PBL科目はプロジェクトレポートの提出の後に口答試問のために、学生も教員も、一定の手間がかかる。

キッチンセミナーは水曜日の15時から2時間と決まっている。開始にあわせて大学に足を運ぶと、いつもよりもキャンパスは静かだったような気がした。試験も落ち着いたためだろう。少し前には、口答試問の準備のためか、いわゆるラーニングコモンズと呼ばれる小さなブースがあちこちにあるキャンパスで、多くの学生たちがパソコンを持ち込んで対話を重ねている姿を目にしていた。

今日のキッチンセミナーのテーマは「謝意の表現の不釣り合い(asymmetric feature of gratitude)」だった。キッチンセミナーは参加にあたって土曜日までに届くディスカッションペーパーに目を通しておくことが責務となっている。今回はディスカッションペーパーに加えて、5つの問いが重ねられていた。それらは「あなたが日々感じている不釣り合いな関係」「義務感で従うこと、黙って従うこと、都合良くついて行くこと、これら3つの区別」「そもそもあえて恩義を感じずに振る舞うこと」「どんなときに恩着せがましいとは感じないか」「一連の感謝、恩義、恩知らず、恩着せがましくない振る舞いなどについて、どうやってデータを収集するのが適切か」であった。

2時間のセミナーのあいだ、参加者どうしで寸劇なども盛り込みながら、私とあなたの関係が深められていった。特にヴィゴツキーの理論に大切にする参加者からは、二者関係を媒介する要素に着目すれば、互恵的な関係の見方も変わることが示された。その流れに乗って、私もまた、相手からの期待と自らの表現のあいだで価値の調整がなされること、また謝意は人間関係を維持・発展するための手段として用いられること、相手の役割や機能を評価するときと相手の存在を承認するときとでは性格が異なること、などを実際の場面を織り交ぜながら示してみた。17時過ぎ、セミナールームを出ると、既にあたりは暗くなる中、まだ教室の外からお子さんと講義を受講する姿を拝見して、私ももっと励んで学ぼうと、その姿勢に身をただすことができたことに静かな謝意を重ねた。


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