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2018年1月15日月曜日

北の住まい

住居と居住、2文字を入れ替えただけで、意味合いが似て非なるものになる。住居は名詞である。居住は名詞にも動詞にもなる。また住居は家の中だけを指し、居住は家の周囲をも含む概念だと捉えている。

昨日、イギリスから戻り、久々の我が家での暮らしである。もちろん、持ち家ではない。それでも、我が家という感覚がある。異国の地で10ヶ月あまり過ごしてきた拠点として、愛着ある居住空間である。

デンマークにはエアコンがない家が多い。夏が短いことがもっとも大きい理由だろう。だからこそ、その時期にはバカンスに出る。一方で長く続く寒い冬を基準に居住環境が設計されている。

徒然草の第55段に「夏をむねとすべし」とある。確かに、昔の日本なら、暑い夏をどう過ごすかを考えなければ堪えられなかったのだろう。実際、寒ければ重ね着などをして、また暖をとれば、ある程度はしのぐこともできる。しかし、冬のことも考えて家は作った方がいいということを、デンマークに暮らして改めて痛感している。

この数日、家を空けていたことも重なって、家は冷え切っている。というのも今の家は、北欧の住まいの典型か、セントラルヒーティングのパネルヒーターのみなのである。夕方からは雪も舞った。それでも夜になると徐々に暖まってきており、家のつくりかたは「必ずしも夏のみをむねとせざるべし」である。


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