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2017年11月12日日曜日

UMAMIの世界

郷に入っては郷に従え、ということわざがある。デンマークに来て半年、多くの流儀に触れてきているつもりである。それでも、時折、長年にわたって培われた味覚が、慣れ親しんだ食材を求めてくる。何より、ソースの文化が中心のヨーロッパで暮らす中で、出汁文化が根ざす和食が2013年12月4日にユネスコ無形文化遺産に選ばれた理由を深く理解できている気がする。

いわゆる出汁パックは一定の分量を日本から持ってきたものの、「かつおぶし」の現地調達がなかなか難しい。調べてみると、2013年2月28日、NHKのクローズアップ現代で「“UMAMI”が世界を制す!? 発見 驚きのパワー」という回が放送されていた。ちなみに2012年3月に「和食;日本人の伝統的な食文化」として世界遺産登録は済んでいた頃である。そして、あるいは、しかし、世界遺産登録後の2015年7月11日、ミラノ博覧会の「ジャパンディ」において、「レセプションに日本産かつお節を持ちこめない」という、「かつお節事件」(東洋経済オンライン、2015年7月10日)が起きたという。

私も不勉強で、こちらに来て知ったのだが、かつお節の輸出にあたっては「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:ハサップ/危害分析・重要管理点)」方式での管理により、EUの定める高い基準に対応する必要があるらしい。鰹節は煮て、燻して、乾かして、というプロセスを辿るが、その燻蒸の段階でつく焦げ目に基準値を超える「ベンゾピレン」(発がん性物質とされる)が付着するため(田中淳夫「カツオ節は毒物?EUが輸入を認めない理由」2014年12月21日) とある。一方で今年、2017年2月8日付で静岡県焼津市の水産会社がHACCPの認定を取得、2月15日には交付式がなされ、それまでは「dried bonito」と呼ばれてきたものを「katsuobushi」として輸出していくという。(NHK News Webビジネス特集「目指せヨーロッパ かつお節の挑戦」2017年2月21日)


今日は先般、晩ご飯のお好み焼きにと、コペンハーゲンで調達した鰹節をおろした。こちらは東京の「和田久」の現地法人が「2015年4月からスペイン・ガリシア州のプエブラでというまちで100%欧州産の鰹節を製造する」商品である。(「日本への欧州産鰹節逆輸入を開始!」(共同通信PRワイヤー、2016年9月24日)。ちなみに、2016年9月2日には、「ブルターニュのかつおぶし工場、きょう始動!」(鹿児島県の枕崎水産加工業協同組合、2016/09/02) というニュースもある。徐々に広がる和食の世界、出汁だけではない、UMAMIに舌鼓を打つ人が増えばと願っている。


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